0~1歳児
子どもの姿から
子どもと見守る保育者との信頼関係が、探索活動や好奇心を旺盛にします。歩行が安定して指先などが発達してくると、強く自己主張する姿も見られるようになり、そして何をしても許されるという解放感と安心感を持てば、外の世界へ興味を持ち動き出します。
子どもを園庭へいざなうと、最初に出会う素材は水です。心が開かれ自由な気分になる水が大好きで、水の流れを楽しんだり、口に含んだりします。次いで砂との遊びが始まり、砂をつかみ、手から少しずつ落としたり、あたりに撒いたり、手の跡をつけたりします。そして両手で砂を押す、集めるなどの遊びに発展します。そうなると土でも遊びます。トロトロの土の中に手足をつける、土山によじ登る、降りる、滑るなど全身を使って楽しみます。運動機能の発達につれて、土の塊や団子を並べたり、木の枝を刺したり、遊びが多様になります。
自由画の表現から
子どもは、まず点を打つ、次いで線を引き、線を集めたら面らしきものを描くようになります。よく遊び、自分に自信を持った子どもは、動きのある線や点によって、躍動感のある大きな絵を描きます。
2歳児
子どもの姿から
子ども達の行動範囲が拡がり、探索活動が盛んになり、言葉も増えて友達との関わり合いも活発になります。象徴機能の発達と共に身近な物を知っている物に見立てて遊ぶ姿も見られるようになります。土山に登る、降りる、滑る、そして土を投げる、たたく、集めるなど「行為としての造形活動」が見られ、それらが発展して、たたいて延ばす、土の塊に穴をあける、土を他の物にくっつけるなど楽しい行為を繰り返す「状態としての造形活動」も見られるようになります。
手先も器用になり団子を作り、身の周りや、色々な物の上に並べる「配置・配列としての造形活動」や、土に木の葉、木切れ、木の実などを合わせる「構成としての造形活動」も展開します。土を重ねて大きな塊も作るなど、遊んだ痕跡として抽象的な造形物を多く残します。土には可塑性があって、作り直しができるなど大きな魅力があり、子ども達の遊びを拡げていきます。そして、友達と一緒に遊び、仲間と遊ぶ楽しさを感じてきます。同時に泣いたり、叩いたりと多くのトラブルも体験します。
自由画の表現から
自由画の真ん中に自分が入り込んだように、大きな円状の塊を描き、そこから線が外に向かって延び出します。友達関係などから大きな二つの塊をシンボリックに抽象的に描いた絵も出てきます。
3歳児
子どもの姿から
基本的な生活習慣がほぼ自立し、運動機能が伸びてきます。話し言葉の基礎もでき、友達との関わりも多くなり、知的好奇心や関心も高まります。遊びの活動の結果が予測でき「ごっこ遊び」などを豊かにし、次へ期待を持ってその遊びを深めていきます。よりダイナミックになった「行為としての造形活動」や「状態としての造形活動」を展開する中で、創造へと向かいます。仲間と適度な軟らかみのある土を作り、その土を広げたり、積み上げたりして大きな立体をつくります。
そして、その土でより創造的な多様で多彩な造形活動を展開します。このような遊びを十分に体験した子ども達は、友達と協力して園庭や築山、砂場などや地面に働きかける「場としての造形活動」を始めます。水路作りなどです。また、生き物などを捕まえての遊びも拡がります。生き物の家づくり、死に対しての墓づくり、逃がしてやることなど、友達関係を深め、挫折したり葛藤したりしながら人と関わる力を育んでいきます。
自由画の表現から
身体機能の発達と遊びの深まりから、描かれる絵に厚みがでてきます。その厚みを持つ面は立ち上がるような力強さを感じます。物事への認識が形をイメージさせるからです。この年齢はものの区別認識や感情の表出から混色も多くでてきます。
4歳児
子どもの姿から
仲間ともよりつながり、ケンカも増えてきます。一方、相手の思いに気付き、自分の気持ちを抑え少し我慢ができるようになります。遊びも3歳児までの遊びがより大胆になり、遊びのバリエーションも増え、深まっていきます。土山を登り降りする階段をつくるなど「行為としての造形活動」から「場としての造形活動」に深まります。「配置・配列としての造形活動」も、団子や塊の作り方や並べ方が工夫され美しい造形作品になります。「構成としての造形活動」の独創的で集中された丁寧な美しい造形作品を生みだして行きます。
そして仲間とのつながりが育つ遊びはなんといっても「場としての造形活動」です。温泉づくりでは、地面を掘る役、形を作るための土を丸める役、全体の形を整えるやく、水を運ぶ役、水を流す役等々、役割を決めて協力し合います。作る途中も色々な意見を取り入れながら進行していきます。そしてできた後も水の流れ方や形が壊れることの対してのお互いの意見を出し合いながら遊びを深め発展させます。
自由画の表現から
遊びの拡がりや深まりから、色をしっかり選択して多種多様な表現が見られるようになります。認識したことや、自己と他者、内と外の世界など自分がとらえたものごとを絵に表現します。楽しい不思議な絵を描く年齢です。
5歳児
子どもの姿から
5歳児になると心身の基本的な機能がより高まり、共に遊ぶ中で自主性と自律性を育みます。遊びにおいても、役割分担をして知識を出し合って、創意工夫を重ね、仲間の中の一員としての自覚を強めます。また、主体的なイメージを持ち、巧みな造形表現が見られます。物と物との関係についても認識を深め、物の特性を生かすようになります。石と泥を交互に重ねて高く積み上げたり、木材を立てるために土の塊を基礎に使ったり、板と板をつなげるために粘土を使ったりします。
友達と力を合わせ、家のような大きな構造物、トンネル作り、水路作り、迷路作りなど大きな「場としての造形活動」が展開されるのも5歳児です。子どもは、その遊びを日々継続させてスケールの大きな遊びへと発展させ、最終的には遊びの痕跡として感動的で大きな造形作品を残します。それらの遊びの痕跡として造形作品を見ますと、子どもの確かな育ちを実感できます。
自由画の表現から
思いのままに自然や自然素材と関わる子ども達は、創造性を発揮して、造形活動(遊び)を展開する力をつけます。友達と深く遊び込み、大きな造形作品を作りだした子ども達は、誠実で建設的な絵を生み出します。新鮮で創造性に溢れ、迫力と躍動感があって、誠実で建設的な絵は子ども達の確かな育ちを語っています。